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院長の思うこと

大きなお世話かな?

  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

更新日:6 時間前

 私は、獣医師免許を取得して36年がたちますが、恥ずかしながら、未だに臨床獣医師の役割とは何かということが十分に理解できておりません。

 命を助けること、病気を治療することは当たり前ですが、死を目前にしたガンや老化現象に対する処置はどうするべきか。いつも迷ってばかりです。

 臨床を始めたころは何も分からず、ひたすら勤務先の院長の真似をしました。少し分かると自分が一人前になったと錯覚し、自信満々で治療しても、覚えたはずの治療法では治らない個体に遭遇して自信を無くしたり、また工夫して治療の幅を広げたりを繰り返して、経験を重ねるごとに、命とは教科書通りにはいかないこと、未知の病気がたくさん存在することを痛感することが多くなりました。

 また、獣医学の発達により、新しい病気、診断法および治療薬がどんどん増えてきております。さらに人間並みの治療が求められるようになり、専門医制度が発展し、診療費が高額化し続けているのが現状です。

 そんな中、私はあえて専門をもたず、家庭医と言うか、地域に密着した、よろず診療所のような診療体系を持つことを決意しました。

 確かにCTやMRIを駆使し、難しい病気の発見や難易度の高い手術に挑戦したり、抗がん剤治療、放射線治療や臓器移植など、最先端の医療に携わりたい気持ちはあります。

 獣医師にとっては、確かにかっこいいし、自分のプライドやステイタスを上げることにつながります。

 でも、それって本当に動物が望んでいることですか?と疑問を持ってしまいます。

 大きなお世話じゃないかなと。

 獣医師のエゴであったり、一部の飼い主さんの自己満足の可能性はないだろうかと。

 死は絶対に回避できません。忌み嫌い、少し遠ざけることは医療でできるかもしれませんが。

 人の医療を見ていると、臓器移植や再生医療など、体の部品を取り換えて死なせないことに躍起になっている気がします。

 死は医療の敗北でしょうか。

 人間を含め、生物全体が、死を繰り返しながら進化してきたのではないでしょうか。弱い体質や能力の低い遺伝子をもった個体は排除され、強い体質や優秀な能力の遺伝子を持った個体が生き残り繁殖して進化してきたのではないでしょうか。

 生物の進化には死は絶対条件なはずです。

 だからと言って命を軽んじるわけではありません。

 せっかく授かった命ですから、一部は高度医療に頼りながらも、自然に最後まで苦しくないようにお世話させていただくのも医療的価値は高いと私は信じております。

 下世話な話で申し訳ありませんが、個人事業主である私の今年の国民保険料を見て冷や汗が出る思いをいたしました。会社員の方々は、社会保険料を天引きされていますから実感がないかもしれませんが、本当に多くの保険料が引かれています。

 保険料は毎年どんどん増額されており、苦情を言うこともできませんし、払わなければ、任意で入っている民間の生命保険などを差し押さえられるだけです。

 理不尽極まりありませんが、それだけ、一部で、余分な医療費が使われているのではないでしょうか。

 一部の抗がん剤や難病治療薬の使用にあたり、数千万から億を越えるものもあるそうです。

 また、ある医師が書いた本によると、もう助からないとわかっている末期がんの患者さんが昏睡状態におちいったときに、昇圧剤や人工呼吸など、数百万円を費やして治療されることもあるそうです。

 命を守る、命を助けるってとても耳あたりの良い言葉ですが、本当にそれが正義でしょうか。

 必要最低限なことだけして、あとは苦しみがないように努め見送ってあげることも悪いことではないと思えてなりません。

 獣医医療も含め、医療費が高騰して、受診を控えたり、保険料で普通の生活が脅かされたら本末転倒です。

 そこで、過剰な設備投資を控え、病院の規模を小さくして人件費を抑え、敷居が低くく、なんでも気軽に相談できる、よろず診療的な獣医医療機関を目指すことは、まんざらでもないのかなって最近思っている次第です。

 相変わらず貧乏な病院経営は続きますが。

 仕方ないですね。

 がんばります。

大きなお世話かな?
大きなお世話かな?

 
 

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